Studio Blue

青い海、青い空、青い月、青い花、青い貝・・・

トラック環礁

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鹿児島県出水を舞台にした阿川弘之さんの『雲の墓標』。
京都大学の大学生が海軍予備学生となり特攻隊として出撃するまでの生活を描いた戦争小説。
これを読んだ時、7年前に私自身が体験したことを思い出した。

私は99年夏にOWライセンスを取得、その半年後に初めての海外ダイブへ出掛けた。
場所はミクロネシアのチューク、トラック環礁。
私をダイビングの世界に誘ったベテランダイバーの方がある想いを持って、
トラックに誘ってくださったのだ。

ここではWreck Dive、沈船のポイントを潜る。
当時の私はまだ初心者であまり余裕がない状態で潜っていたが、
どの船も、今でも強い印象が残っている。
第2次世界大戦末期の昭和19年2月17日と18日の両日にトラック大空襲があり、
トラック環礁に停泊していた日本の艦船数十隻が米軍に撃沈された。
停泊していたのは民間から急ぎ軍に徴用された商船や一部の艦艇で、
ほとんど丸腰状態の船が犠牲になったという。

私達はこの日にあわせてトラック入りしたので、戦没者慰霊セレモニーにも参加した。
日本人、アメリカ人、チュークの人達が入り交じって、お焼香をあげお祈りをした。
運送船、特設巡洋艦、中には日本郵船のシアトル航路の花形客船だった平安丸が
特設潜水母艦となった姿で横たわっていた。

トラック海底のタイムカプセルの世界を経験して感じたことは、
日常生活やビジネスの世界ではつい忘れがちになってしまうが、
どんな時でも感謝する心と優しい気持を忘れてはいけないと強く思ったことだ。

私にこのような経験をさせてくれた海に、人に、感謝。